ぶんまわし歩行にはいろいろなタイプがあります
「ぶんまわし歩行」という言葉を皆さんご存じだと思います。
脳卒中では片麻痺とか痙縮などの後遺症がみられることがありますが、ぶんまわし歩行はそのような後遺症があることによってみられる症状の一つです。
歩行時につま先が引っかかってしまうためにそれを補う形で外側からぶん回すように前に振り出す歩き方があります。
これは、歩くときに足の甲を持ち上げてつま先を上げる動き(背屈)がうまく出来ないためです。
足先まで一本の棒のように伸びた状態のため、つま先が引っかかり転びやすくなります。また、歩行速度も低下します。
ぶんまわし歩行の原因
一口にぶんまわし歩行といっていますが、ぶんまわし歩行がおこる仕組みはいくつかあります。
①腸助筋の作用によっておこるぶんまわし歩行
腸助筋は、首から腰にかけて背骨に沿って左右に存在している筋肉の中で一番外側に位置している筋肉です。
両側の筋肉がきちんと働いているとまっすぐに姿勢を保つことができますが、片麻痺によって片側だけ作用すると体はそちら側へ曲がってしまいます。
歩こうとしたときには、麻痺側の腸助筋を使って骨盤を引き上げます。
左側に片麻痺の後遺症がある場合は、体幹は左に曲がるので左側の方や胸郭は左に下がり、逆に骨盤は左側が上がることで左足を前方に振り出すことになります。
②腰方形筋の作用によっておこるぶんまわし歩行
腰方形筋は長方形の形をしていて骨盤と腰椎、肋骨にかけて付着している筋肉です。
片麻痺をしている場合、足を前に出す時に麻痺側の腰方形筋肉を使って骨盤を引っ張り上げ分回し歩行になることがあります。
骨盤から腰に掛けての筋肉だけが使われるので、腸助筋のように体幹が湾曲して胸郭を下制することがなくなります。
肩が下がって傾く体勢にならなくて済みます。
③広背筋下部繊維の作用によっておこるぶんまわし歩行
広背筋というは、背骨の真ん中あたりから腰にまで広がる大きな筋肉です。
上部と下部に分けられますが、広背筋下部は上腕骨から腰や骨盤までに広がっています。
肩甲骨の伸展に重要な部分で、肩甲骨の伸展がうまく行われることで上腕の動きもスムーズになり綺麗な姿勢を保つことができます。
片麻痺の患者さんで足を前に動かす時にこの広背筋下部組織を使って骨盤を引き上げぶんまわし歩行をする場合があります。
腸助筋や腰方形筋を使ってぶんまわし歩行をするときに体幹が左右に傾くのと異なり、広背筋下部組織の場合は上半身が後ろへ引っ張られることになります。
麻痺側の半身をひねりながら足を振り出すような体勢になります。
このようにぶんまわし歩行の原因は1つではありません。
専門の療法士さんによるリハビリは患者さんの症状に合わせたものとなりますが、ご家庭に戻った場合一般的なリハビリを行うと症状の改善にはなかなかつながらない事にもなりかねません。
患者さんの歩行の様子をしっかりと観察し、療法士さんのアドバイスを生かしてリハビリを続けることが大切です。
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