脳卒中片麻痺ぶん回し歩行からの脱却手段
脳卒中を患った人の歩行は特徴的です。
片方がマヒしている片麻痺状態ですから、動きに制限がでてしまうため、どうしても人目に付きやすい歩行パターンになります。
特に30代40代で脳卒中となった方の多くは、社会復帰を目指す際に、その特徴的な歩き方を避けたい、つまりカッコ悪いと考えるのは当たり前の心情ではあるかと思います。
しかし現実には、マヒした足が半円を描くように振り出される『ぶん回し歩行』になっているのは、いったい、なぜなんでしょうか。
そして、その『ぶん回し歩行』を脱却する手段はないのでしょうか。
リハビリが自然歩行を阻害しているのではない
脳卒中は、症状が出始めてから早い段階で治療にあたれば、早期回復が望まれる病気です。
リハビリに入るまでの期間も想像以上に短いことを知る事が出来ました。
ところが身体に半身マヒがあるので、リバビリを受ける当人は、力が入らない状態で訓練をスタートします。
当然、サポート役として理学療法士などのリハビリ専門家が付くのですが、それでも『ぶん回し歩行』の傾向が強くなるのが現状です。
決して理学療法士の訓練精度が低いとかではなく、脳卒中の独特の脳への影響が大きく作用しています。
脳卒中によって脳の運動神経回路の一部が破壊されて、残った運動神経回路で上手く歩こうとするので、一見、ぎこちない歩行になるわけです。
つまりは脳卒中後の脳の運動神経の状態からすると、ぶん回し歩行が自然な歩き方になってしまうのです。
マヒした足の膝に力が入らないから等、ド素人の想像とは全く別次元の理由があったと知った時に、はじめて脳卒中という病気の恐ろしさを垣間見ました。
失われた脳の運動神経の代償が、ぶん回し歩行という形になって現れるわけです。
言い換えると、歩行訓練を頑張れば頑張るほど、ぶん回し歩行が上達するだけということになります。
しかし、それって患者さんが望む事なのでしょうか。
一般的な歩行ができるようになるには
あくまでも脳卒中経験者が書いた書籍の中で語られている事ではありますが、やはり破壊された脳の運動神経回路の修復がカギとなるようです。
つまり、ぶん回し歩行から脱却するには、入院した病院でのリハビリを終えてからの日常的な歩行に関する自主トレーニングが、一般的な歩行を実現する手段であるということです。
自主トレーニングと言っても、プロスポーツ選手のような激しいものではなく、毎日、簡単に続けられる程度の運動です。
肉体改造が目的ではなく、運動神経回路の機能を回復させる事が目的です。
言い換えるとニューロリハビリですね。
ニューロとは、学習機能をもっている神経連絡網というイメージです。
つまり脳のニューロを日常的に積み重ねていくトレーニングです。
脳の神経細胞が再生する可能性が出てきた
20世紀までは、いったん破壊された脳の神経細胞は再生しないと考えられていましたが、21世紀に入ると、脳の神経細胞の再生の可能性があると言われるようになりました。
これだけでも希望が見えてきますね。
ニューロリハビリは、脳の神経細胞に刺激を与える事で、目的の動作に関連する神経細胞の数を増やします。
例えば、膝を曲げる動作などは、いくつかの神経細胞が共同で動作のコントロールをします。
この膝曲げの動作グループのように、他の動作のグループを再生や増加していくことがニューロリハビリの基本的な考え方になります。
自然な歩行に必要な動作グループの再生や増加には、運動学習が欠かせません。
運動学習は繰り返しがポイント
ニューロリハビリの主要な要素としては、
- 麻痺側の下肢の筋肉マッサージ
- 麻痺側の下肢の神経機能改善
- 姿勢を制御する機能の改善
- 手足と姿勢の連携動作
になります。
リハビリの段階で理学療法士が、これらの実践をするでしょうから、より自然歩行に近い状態での訓練が出来れば、ぶん回し歩行からの脱却が望めます。
そのためにはマヒした側の膝関節を固定するのではなく、ある程度の曲げを許容することが重要ではないでしょうか。
となると膝の曲げ伸ばしをサポートするデバイスが有効になりますね。
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