高次脳機能障害は治るのか?症状や対応策を分かりやすく
高次脳機能障害は治るものなのでしょうか? そもそも、高次脳機能障害とは? 具体的な症状や定義、原因、対応策・治療法などについて、分かりやすく解説します。
高次脳機能障害とは
高次脳機能障害とは、身の回りのことに注意を払ったり、記憶や思考、また、経験等から総合的に判断することなどといった、人間の持つ高度な脳の働き、すなわち「高次脳機能」が働かなくなってしまう症状をいいます。
こうした日常生活を過ごす上では必須な機能であるために、高次脳機能障害を起こすと、自己による判断が難しくなり、自立した生活が困難となります。
具体的な症状
脳の部位により脳の働きは異なるため、損傷した脳の部位により異なった症状が現れます。
高次脳機能障害の具体的な症状としては、主に次のような障害が現れます。
- 注意障害
- 遂行機能障害
- 社会的行動障害
- 記憶障害
- 失語症
など
注意障害
いつもぼーっとしている、周囲が気になりソワソワと忙しない、火にかけているのを忘れてしまう、気が散って物事に集中できないといった症状。前頭葉の損傷によって起こります。
遂行機能障害
効率的・計画的に物事を遂行することができなくなったり、優先順位が分からなく、何からやればいいか判断できない症状。前頭葉の損傷によって起こります。
社会的行動障害
怒りっぽくなったり、やる気をなくしたり、突然キレたりといった、感情のコントロールができなくなる症状。前頭葉の損傷によって起こります。
視覚障害
左半側空間無視といった、左側のものが見えなくなってしまう症状。具体的には、食事のときに、左側にあるものを食べ残したり、左側のものにぶつかったりします。後頭葉に損傷が起きた場合に視覚障害が起こります。
失語症
うまく話せなかったり、思うような言葉がなかなか出でこなくなったり、字が読めななくなったりする症状。前頭葉の下前頭回後部や側頭葉の上側頭回後部の損傷により起こります。
その他にも、頭頂葉に損傷が起こると触覚障害が、側頭葉に損傷を起こすと聴覚の障害が起きます。
高次脳機能障害が起きる原因
高次脳機能障害が起きる主な原因としては、以下のものがあげられます。
- 脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)
- 脳腫瘍
- 外傷性脳損傷
- 脳炎
- 低酸素脳症
高次脳機能障害を起こす最も多い原因が脳卒中です。
また、次のような病気が原因で高次脳機能障害を起こすこともあります。
- 脳性麻痺
- うつ病
- アルツハイマー
- 統合失調症
- 発達障害
- パーキンソン病
特に脳卒中には気をつけたいものですね。
実際に起きた場合の対応策や治療法
高次脳機能障害は、実際に起きていても、なかなか気づかないことがあります。
また、交通事故で頭を強く打った場合でも、しばらく症状が出ず、時間をおいてから発症する場合もあります。
異変を感じたら、すぐに検査に行くことをおすすめします。早めに発見することにより、対応策や治療法も変わってきますし、その後の後遺症にも影響してきます。
対処法
高次脳機能障害による症状に合わせた対処法を取る必要があります。症状を理解して、周囲にも協力・理解を求める必要もあります。
例えば、記憶障害が起きた場合には、メモを取る習慣を身につけたり、注意障害が起きた場合は、意識的に急速を取るなど、症状に合わせた対処法を取るようにし、症状が引き起こす問題を最小限に食い止める工夫をしましょう。
特に感情の起伏がコントロールしづらい社会的行動障害が起きた場合は、周囲の理解が絶対的に必要となります。そうしないと、人間関係でのトラブルが頻発する可能性が高まるからです。協力者と共に周囲に状況をよく説明し、深く理解してもらえるよう努める必要があります。
治療法
高次脳機能障害の治療法としては、機能回復の治療と起きた症状に対して対処する日常生活を送るための動作訓練とがあります。
治療法は主にリハビリテーションによるものが中心で、機能回復や必要動作の訓練を行います。
また、リハビリのみでは治療の改善が見込めない場合は、薬による治療も行われます。
高次脳機能障害は治るのか?
最後に、高次脳機能障害は治るのかという問題ですが、これは一概にはなんとも言えません。症状の度合いにもよりますし、症状の状況にも左右されます。
一時的に機能障害が出ている場合には、以前のように戻る場合もあるでしょう。
しかし、大抵の場合は、全く以前と同様に治るのは難しいかもしれません。
ただし、リハビリや訓練等による治療を行うことで、機能の改善や機能障害をリカバリーする方法をマスターされる方は大勢います。医師や理学療法士からのアドバイスをよく聞き、改善に努めてください。
また、周囲の励ましなどもとても重要です。サポートされる方は、患者の状況を深く理解し寄り添って、心の支えとなるようお願いします。
高次脳機能障害を起こす原因一番確率の高い脳卒中の症状が起きた場合には、1秒でも早く病院へ運び医師による対処をしてもらうことが、後の高次脳機能障害の度合いを低くするポイントとなります。
脳卒中の疑わしい症状が見られた場合は、過信せずに直ぐに病院にて検査を受けるようにしてください。
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