リハビリ情報まとめ

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脳卒中の嚥下障害を減らしていくためにできること

      2020/05/27

脳卒中の後遺症はさまざまな器官への障害となって現れます。嚥下障害もその一つです。

私たちは「食べる」という動作を無意識でおこなっています。
食べたり飲んだりするということは、生まれた時から、誰にも教わらなくてもやっているのです。
でも、改めて考えると、かなり複雑な動きが行われています。

まず最初は、「食物」を認識するところからです。目で見て臭いをかいで食べられるものかどうかを判断しています。
食べ物を口に入れると、歯でかみ砕き(咀嚼)舌を使って唾液と混ぜ合わせ、小さな塊にしていきます。(咀嚼の準備期)
次に食べ物の塊は下の動きによって口(口腔)の中から喉へ送られます。(口腔期)
喉(咽頭)へ送られた塊は、まず鼻の方へ行かないように軟口蓋(なんこうがい)が上がります。
そして次に気管の方へ行かないように喉頭蓋(こうとうがい)が気管の入り口を閉じリング状の咽頭筋が緩んで食物の塊が食道へと進んでいけるようにします(咽頭期)
食道へと運ばれた食物の塊は食道から胃へと送られます(食道期)
ここまでの一連の流れが「嚥下」といわれる働きです。
空気が流れる部分と、食物が流れる部分が咽頭で重なっているので、食物は食道を通って胃へ、空気は気管を通って肺へと流れるように軟口蓋や喉頭蓋が働いています。

嚥下障害は顔周辺の様々な部位の障害によって現れます。
顔面神経に問題があって唇に障害が現れると、食物の口腔内への取り込みがうまくできなかったり、食べ物を咀嚼しているときに口を閉じていることができずに口から食物がこぼれだしてしまったりします。
ほほの筋肉に症状が現れると、ふくらましたりすぼめたりすることが難しくなり、食べ物の保持や咀嚼の、機能が低下してしまいます。
舌下神経に問題があると舌を思い通りに動かすことができなくて、咀嚼や押しつぶし、咽頭へ食物の塊を送り込むことが難しくなります。
迷走神経に問題があると咽頭や喉頭に症状が現れ軟口蓋や咽頭蓋の働きがうまく行われずに、気道の閉鎖がうまく出来なかったり咽頭筋が広がりに憂くなったりします。

嚥下障害のリハビリテーションは、単に嚥下機能を訓練すればよいというものではありません。
安全に口からものを食べるために、食事の時の姿勢を考えたり、咀嚼しやすい食事を用意したり、唇や舌の動きの回復訓練を行ったりすることと同時に、十分な栄養補給のための代替方法も考慮する必要があるのです。

脳卒中の嚥下障害は、病巣の部位によってタイプが分類されていますが、重症度の差、急性期や回復期といった病期、他の高次脳機能障害などによって
様々な症例が出てきます。ステレオタイプで考えるよりも、個々の症例に合わせリハビリテーションをしていくことが必要です。

「食べる」ということはただ栄養補給のための行為というだけではありません。食事を楽しみ家族との団欒を楽しむ時間でもあるのです。
入院中も自宅に戻ってからも専門家と家族の協力が不可欠になります。




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 - リハビリ, 脳卒中