脳卒中と摂食嚥下(えんげ)障害の原因
2020/08/04
脳卒中の患者さんのうち急性期には約30%の患者さんに誤嚥が認められ、慢性期まで誤嚥が残存する患者さんは全体の約5%程度といわれています。
日本では年間約40万人が脳卒中を発症しているといわれ、そのうち約2万人の方が摂食嚥下障害を起こしています。
また、摂食嚥下障害の疾患の約40%は脳卒中であるといわれています。
摂食嚥下障害は、肺炎や窒息、低栄養、脱水など命の危険に直結します。
また、うまく噛めなかったり、飲み込めず食べる楽しみを失い生活の質(QOL)も低下して、精神的・社会的な面も含め健康に大きな影響があります。
口腔機能の衰えを意味する「オーラルフレイル」
オーラルフレイルとは、噛んだり、飲み込んだり、話したりするための口腔機能が衰えている状態のことです。
噛んだり、飲み込んだり、話したりする口腔機能の衰えは、脳卒中以外にも加齢などによっても起こります。
歳のせいだからしかたがないと放おっておくと、口腔機能低下の悪循環に陥り、食欲も低下しサルコペニアや低栄養などで全身の機能が低下し、要介護状態になる可能性もあります。
口腔機能低下のサイクル
噛む力が衰えて「うまく噛めない」と、柔らかいものばかりを食べるようになり、噛むために必要な筋力が衰え咀嚼機能がさらに低下してしまいます。
オーラルフレイルの自己チェック
オーラルフレイルは口の中を清潔に保ち、適切に歯と口の健康を保つことで予防・改善することができます。
オーラルフレイルの自己チェックポイントを紹介します。
質問項目 | は い | いいえ |
---|---|---|
半年前と比べて硬い物が 食べにくくなった |
2点 | 0点 |
お茶や汁物でむせることがある | 2点 | 0点 |
義歯を使用している | 2点 | 0点 |
口の渇きが気になる | 1点 | 0点 |
半年前と比べて外出の頻度が 少なくなった |
1点 | 0点 |
さきいか・たくあんくらいの硬さの物がかめる | 0点 | 1点 |
1日に2回以上は葉を磨く | 0点 | 1点 |
1年に1回以上は歯科医院を受診している | 0点 | 1点 |
合計の点数
0~2点・・・危険性低い
3点・・・危険性あり
4点・・・危険性高い
合計が4点以上の場合はオーラルフレイルの危険性があります。
社会的な活動や適度な運動などで外出の機会を増やし、定期的に歯科を受診して口の中を清潔に保ち口の健康に努めましょう。
オーラルフレイルの予防と対策
ポイントは、口や舌などの口周辺の筋肉を鍛えることです。
◆咀嚼機能アップ
① 舌をアゴにつけるイメージで下に出す
② 舌をできるだけ前に突き出し左右に動かす
③ 舌の先に力を入れて舌を口から出したり引っ込めたりする
④ 舌を突き出し鼻を舐めるように上に伸ばす
◆嚥下機能アップ
① 床にあおむけになり、深呼吸をしてリラックスする
② 手のひらは下に向けて腕はまっすぐに伸ばし、体にぴったり付ける
③ つま先を見るように頭を上げて10秒キープ、肩が床から離れないように注意
④ 3~5回繰り返す
◆唾液分泌アップ
① 耳の前から上の奥歯の辺りを、後ろから前に向けて円を描くようにマッサージ
② 顎の骨の内側に親指を当てて、首に近い方から顎先に向けて移動しながら押す
③ 顎の真下を両手の親指をそろえて突き上げて押す
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