【まもなく終了】GS Kneeに関する学会動画を観た感想
期間限定で公開されている「装具療法革命」というGS Kneeにまつわる講義動画はご覧になりましたか? 期間限定公開最終日が迫ってきています。まだご視聴になっていない方は、お早めにご視聴されることをお勧めします。いま脳卒中患者の歩行リハビリにおいてどのような変化が起きているのか、よくわかると思います。
4名の講師の方の講義のうち、千里リハビリテーション病院副委員長の吉尾雅春先生の「脳卒中患者の歩行再建をどのように進めるか」を視聴した感想です。
>「装具療法革命」の講義動画はこちらから視聴できます(2021年1月3日で公開終了予定)
脳卒中患者の歩行再建をどのように進めるか
人間は直立二足歩行動物であるということから歩行を考えると、次の2点について考える必要があるそうです。
- 股関節
- 脳
股関節の動く角度は、本来の股関節である寛骨大腿関節の屈曲角度だと70度程度。
そこに股関節前面の軟部組織の厚さや柔軟性と骨盤の後傾とが加わり、いわゆる股関節の動く角度は133度にまでなるそうです。
また、座っているとき(座位)と立っているとき(立位)とでは、骨盤の角度が異なり、立っているときの方が骨盤が起き荷重がしっかりかかることで、より安定した姿勢がとれるそうです。
つまり、直立二足歩行動物である人間は、立っているときの方が安定した姿勢が保てるように体の仕組みができているということですね。
脳はシステムとして動いている
脳は各部位との連携を担うシステムとして働いていると認識されています。
脳内で行われる歩行に関する脳の連携経路は、まず脳内に体幹と下肢がどのような状態になっているかの情報が視床を通して入り、視覚情報により空間に対しての認識をします。
これらが統合され前頭葉に行き、前頭葉で体の動きに対しての指令がでます。
脳卒中により、これらの脳の機能に障害が起きると、まっすぐに立つこと・座ることができなくなってしまいます。講義内では、これらについてより詳しい解説がなされているわけです。
従来の歩行リハビリにおいては、歩行だけを見てどういう問題があるかということを考えがちでしたが、脳の中で何が起こっているのかということまで理解しながら歩行を見ていくということが重要とのことでした。
確かに、足だけの問題ではなく、脳と連携して足は動いているわけですから、脳と歩行の関係を考えるのは、歩行リハビリにおいても必然だということがよく納得できました。
長下肢装具を使ったリハビリの重要性
これらの脳の働き歩行の関係性を考えると、長下肢装具を使ったリハビリの重要性も理解できます。
長下肢装具にゲイトソリューションを用い、リハビリを行うと発症後12カ月経った患者の場合でも、歩行改善は見込めます。
ただ、更に一歩踏み込み、膝を曲げて歩けるようになるためのリハビリを行うには、発症4カ月以内にどのようなリハビリを積み重ねていくがが非常に大事になってくるそうです。
そのためには、長下肢装具を用いた膝を伸ばして歩く練習を続けるだけでなく、膝を曲げて歩くためのリハビリを早期から行う必要があります。
そこで開発が始まったのがGS Knee
そこで、吉尾先生がゲイトソリューションを開発した山本澄子先生に相談したところ、長下肢装具を制作する川村義肢、藤倉化成、東京電機大三井研究室、アスラテックなど、さらなる研究開発組織の力が合わさり、膝部の制御機能となるGS Kneeをついに完成させることができました。
実際のリハビリ環境では、理学療法士とともに患者は膝を曲げての歩行練習をします。講義内の歩行練習風景を収めたリハビリ動画を見てもわかるとおり、とても滑らかに自然な歩行での練習が行われていることがわかります。
現在リハビリ中の方も、退院された方も、一度これらの講義をご覧になられるとよいかと思います。
人間を動かしている脳と足のメカニズムがわかると、長下肢装具とGS Kneeの重要性もより深く理解できるとともに、今より更に歩行改善できる可能性も見えてくるのではないでしょうか。
脳卒中により麻痺を起こされた方が、日常においてよりストレスを少なく、以前の生活様式に近い形に戻れるよう願っています。
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